かける一手間が生む、余白と奥行き。木本 梨絵
(株)HARKEN代表を務め、さまざまな業態開発やイベント、ブランドの企画など、クライアントに寄り添い包括的にクリエイティブディレクションを行う傍ら、母校である武蔵野美術大学の非常勤講師を務める木本梨絵さんにお話を伺いました。
“人々の暮らしを豊かにする、本質的な価値と意義のあるものづくりを行っている自分自身が、まずは心地よい生活を送るために。”
ー klarm timeをどう過ごしていますか?
日々の生活の中で自分のためだけに何かを考える時間というのはほぼ無いに等しいので、klarmを使う時間は自分のためだけに使うとても貴重な過ごし方です。klarmを使うときは必ず長風呂になるので、水分補給用のドリンクや本を持ち込んだり、キャンドルを灯したりして、パックする空間も演出しながら過ごしています。
ー klarmの使用感はいかがでしたか?
使用した後はクレイが余計なものを引き剥がしてくれ、肌がトーンアップしているのを感じます。
klarmは、大切な日の前の日に、化粧下地を“仕込む”ような感覚で使っています。明日の自分に自信を持てるようになるためにも、がんばった日のご褒美としても使用することが多いです。
ー 普段の生活であえて一手間かけていることはなんですか?
普段の生活の中に余白の時間は本当に少なくて、気づくとご飯を食べる時間や寝る時間すら確保できないくらい、余裕がなくなってしまうんです。でもその生活が続いていくと体力的にも精神的にもバランスが崩れてしまうので、最近は意識的に生活に余白を設けるようになってきました。
例えば仕事の合間に一息つくための時間にはコーヒーを豆から挽いて淹れたり、お茶を飲むときには急須を使って入れるというような一手間も大事にしていています。
お気に入りのYAECAのガラスのティーポットや、沖縄のやちむんの急須をその日の気分で使い分けています。
急須で入れるのは正直面倒だし、洗うことまで考えるとそれこそ一手間・二手間がかかるけれど、その行為がスイッチの切り替えや気持ちのリセットにも繋がる。そういった行為にあえて時間を割くことによって、余裕が生まれるんじゃないかと思っています。
急須には“急ぐ”という字が入っているとおり、昔は急ぐために急須を使っていました。でも、今は何もかもが便利になって、ペットボトルやティーパックなどでもっと手軽にお茶が飲めてしまう。昔は急ぐためのものであった急須が、今の私にとってはゆったりした時間を与えてくれるものになっていて、急ぎすぎないためのツールになっています。
木本さんが手がけるプロジェクトのひとつである 日本草木研究所。
木の食用化を試みる木食ブランド「木(食)人」の フォレストソーダ(TŌGEと 日本草木研究所の共同開発)や、食卓に欠かせない基本調味料「草木塩と草木油」、”日本の野生の胡椒”「フウトウカズラ」など、日本の里山に眠る美味しい草木たちを調査、収穫し、食べられる形に変える活動をしています。人と森の新たな関係性を築くことや里山の持続的な管理を目的とする実験的で希少性の高いプロダクトには、入荷してすぐに売り切れになってしまうものも。現在は「木のお酒」の開発を進めているそうです。
「日本草木研究所」
軽井沢・岐阜・高知をはじめ各地に研究拠点を持ち、全国の里山に眠る植生の「食材としての可能性」の発掘を行います。目指すのは、海外のスパイスやハーブが日々の食卓に並ぶように、日本の木々や名も知れない野草たちが食に当たり前に関わる日常の実現。日本の原始的な食用植物資源の価値化は、地方産業の活性化や持続可能な食材供給、新たな国際競争力にも繋がっていく。それらを実現するために今日も全国の里山に入っては、蒐集・記録・発表を繰り返し、おいしい価値化を試行する研究機関。
PROFILE
木本 梨絵
クリエイティブディレクター
1992年生まれ。株式会社HARKEN代表。日本の里山に眠る可食植物の研究をする「日本草木研究所」共同代表。自然環境における不動産開発「DAICHI」を運営。自らも事業を営みながら、さまざまな業態開発やイベント、ブランドの企画、アートディレクションを行う。グッドデザイン賞、iF Design Award、日本タイポグラフィ年鑑等受賞。2020年より武蔵野美術大学の非常勤講師を務め、店舗作りにおけるコンセプトメイキングをテーマに教鞭を執っている。
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